さすがにやりすぎ? バイデン政権が「中国製EV」に100%関税を課す理由

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中国製EVに世界の注目が集まるなか、バイデン政権は2兆8000億円相当の中国からの輸入品に関税を引き上げると発表した。その背景には何があるのか。

両大統領候補、対中姿勢の一致

エアフォースワン(画像:写真AC)
エアフォースワン(画像:写真AC)

 では、なぜ今回バイデン政権は大胆な対中制裁関税に踏み切ったのか。これは明らかに

「11月の大統領選」

を見据えた動きである。今日、ウクライナや中東では戦闘が続いているが、バイデン政権のウクライナ政策、中東政策の対する米市民の支持は高くなく、同政権としては対外政策でも何かしら支持拡大につながる行動を取る必要があり、その“うってつけ”になるのが対中強硬政策である。

 米市民の間では時間の経過とともに中国に対する警戒心が広がっており、いい換えれば、

「中国に対する厳しい姿勢を示すこと自体が支持拡大につながる」

という状態となっていて、対中宥和(ゆうわ)姿勢を示すと大統領選で敗北するリスクが生じている。要は、秋の米大統領選挙で

・バイデン大統領が勝利しようが
・トランプ氏が勝利しようが

米国の中国への強硬姿勢に大きな違いはなく、両国間の貿易摩擦は2025年1月の新政権発足以降も確実に続くということだ。今回、バイデン政権がEV関税100%という非常にインパクトがある数字を示したのも、

「自分たちはあのトランプ政権(最大で25%)よりも米国民の雇用や経済を守る」

という強い意志があることをアピールする狙いもあろう。

 一方、今回の対中関税引き上げに、中国は当然ながら反発している。中国商務省は経済や貿易を政治の道具にするべきではないと関税引き上げの撤回を求め、中国は自国の権益を守るため断固とした対応をすると報復措置の可能性を示唆した。

 中国は安全保障だけでなく経済や貿易の領域でも、欧米の秩序とは一線を画す新たな秩序形成のため率先して主導的役割を担おうとしており、ロシアやイラン、インドを盟主とするグローバルサウスなどに対して“強い中国”を示す必要がある。また、国内に目を向けても、

・不動産バブルの崩壊
・若者の高い失業率
・経済成長率の鈍化

など、習政権は多くの経済的難題に直面しており、国民に対しても“米国の圧力には屈しない強い中国”を示す必要があり、具体的な対抗措置は現時点で不明だが、米国を強くけん制する何らかの対抗措置が発動される可能性が高いといえよう。

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