フーシ派の攻撃で商船が「スエズ運河」を避けているのに、なぜ海運は平穏を保っているのか?
地中海と紅海を結ぶスエズ運河は、世界の物流の10%が流れる大動脈である。しかし、このような状況にもかかわらず、世界の海運は平常レベルを保っている。なぜだろうか。
止まっても影響なし

スエズ迂回は世界経済を揺るがすほどの影響力を持たない。その理由は以上のとおりである。
これは実例の裏付けもある。
スエズ運河の障害は時折生じる。最近であれば2021年の「エバーギブン」擱座(かくざ。船が浅瀬にのりあげること)、多少さかのぼると1984年の紅海機雷事件、3次・第4次中東戦争でも停止状態となった。なお最後の例では8年もの間、不通のままであった。
そして、いずれも経済を揺るがす事態には至らなかった。海上運賃は高騰したものの海上輸送量はさほど縮小していない。それによる経済悪化もない。
そもそも、平時にも関わらずスエズ運河を迂回する例もある。船舶燃料の価格変動によりスエズ運河通航料が割高となった場合、自然と喜望峰迂回が始まるのである。
だからエジプト政府は運河通航料を頻繁に調整している。航行日数短縮だけでは運河に商船は呼べない。だから喜望峰廻りよりも燃料費でわずかに有利となる料金を設定している。そうしなければ運河から商船は逃げてしまうのである。