日本の物流コストに大打撃? パナマ運河「水位低下問題」が全然“対岸の火事”じゃないワケ
今、パナマ運河の水位低下が問題になっている。この水位低下により、ここ数か月にわたってパナマ運河庁により、喫水制限が設けられてきた。
水位低下による喫水制限
今、パナマ運河の水位低下が問題になっている。この水位低下により、ここ数か月にわたってパナマ運河庁により、喫水制限(船の沈む深さの制限)が設けられてきた。
喫水制限を受けると、海運会社は積載量を下げざるを得ない。海運会社は、運搬する貨物量の減少による収入減を補うべく運賃を値上げするため、荷主にとっては物流コストの増加へとつながる。
パナマ運河は中米のくびれた部分にあり、太平洋と大西洋を結ぶ物流的・軍事的に重要な運河である。1903年にパナマがコロンビアから独立後、米国によりパナマ運河が建設され、1914年に完成した。しかしながら、1999年12月31日に返還されるまで米国による管理が続いていた経緯がある。
外務省のデータによると、パナマ運河の通航隻数(2022会計年度)は1万3003隻であり、重量別では、
・米国
・中国
・日本
・チリ
・韓国
の順に利用している。
仮にパナマ運河が機能しなくなると、収入源を失うパナマ共和国の死活問題になるだけでなく、船舶は南米大陸の先端にあるホーン岬などに迂回せざるを得なくなる。
パナマ運河の水位低下は、パナマ共和国や物流業界ひいては世界経済にとって、非常に頭が痛くなる問題なのである。