フーシ派の攻撃で商船が「スエズ運河」を避けているのに、なぜ海運は平穏を保っているのか?

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地中海と紅海を結ぶスエズ運河は、世界の物流の10%が流れる大動脈である。しかし、このような状況にもかかわらず、世界の海運は平常レベルを保っている。なぜだろうか。

中欧間の距離は伸びない

スエズ運河(画像:写真AC)
スエズ運河(画像:写真AC)

 第2は、スエズ迂回はさほどの距離増加とはならないことである。中国~欧州間であれば喜望峰廻りをしても距離も時間も3割増にしかならない。

 もちろん影響を受ける航路もある。インド西部にあるムンドラ港とギリシアのピレウス港の距離は運河経由の6500kmが2万2000kmとなる。

 ただし、中国・欧州間の輸送路はあまり変わらない。長江・珠江デルタと低地諸港を結ぶ海運の主幹線だが距離の増加はそれなりである(なお、東京発着は無意味なので入れていない。日本は世界海運の幹線からすでに外れている。中国周辺にある支線航路の港でしかない)。

 割合では30%である。上海から広州、シンガポールを経てハンブルクに至る経路であればスエズ経由の2万kmが2万6000kmに増えるだけである。

 日数や輸送コストも30%増にとどまる。仮に18ノット、時速33kmで搭載数24000TEUのコンテナ船を動かした場合は25日から33日に8日分増えるだけである。輸送コストも40ft形コンテナあたりで6万円が7万8000円に変わる程度である(輸送コストの絶対額は条件次第である。数字は仮に燃料費の4倍とし、満載常態の24000TEUのコンテナ船で18ノットで運んだ場合である)。

 その上、日数は運航速力の引き上げでもカバーできる。18ノット、時速33kmで航行する商船の場合、3割増の22.5ノット、時速42kmに増速すれば喜望峰廻りでも同日数となる。船舶燃料の市況次第ではあるが、これはあり得る選択肢である。

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