トランプ当選で、NATOが形骸化? ほくそ笑むプーチン、ロシア撤退の「日本車メーカー」は今後どうなる
安全保障の不確実性

ウクライナがロシアによる侵攻を許したひとつの背景に、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟していないことがある。
NATOはその条約第5条で1加盟国への攻撃は全加盟国への攻撃とみなすと規定し、要は集団的自衛権を認める集団防衛体制となっており、仮にウクライナがNATOに加盟していれば、ロシアはNATO加盟31か国(当時のNATO加盟国数にウクライナが加盟していたとして)を敵に回すことになるので、プーチン大統領も侵攻という決断を下していなかった可能性が高い。
ウクライナ周辺には同じく旧ソ連圏を構成してきたバルト3国があるが、リトアニアもエストニアもラトビアもNATOに加盟しているが、ウクライナのように加盟していなければ侵攻の対象になっていた可能性は排除できない。スウェーデンとフィンランドがNATO加盟を急いだのも、それによって自国の安全保障を担保しようとしたからだ。
しかし、NATOの傘下に入ればロシアによる脅威から完全に身を守れるかといえば(海外進出企業の観点でいえば、ロシアと距離的に遠くないNATO諸国であれば社員は安全に仕事できるか)、最近不穏な空気が漂う。
米国では秋に大統領選が行われるが、トランプ氏は2月、
「NATO加盟国が軍事費を適切に負担しなければ、ロシアからの攻撃があっても米国は支援せず、好きにやるようロシアにけしかける」
などと発言し、大きな物議を交わした。これに警戒感を抱いたのか、その後フランスのマクロン大統領は、
「ウクライナ戦争でロシアを打倒することは欧州の安全保障にとって不可欠であり、西側諸国の地上部隊をウクライナへ派遣することで合意はないものの、その可能性を現時点で排除するべきではない」
と一歩踏み込んだ発言をした。これも大きな物議を醸し出すことになり、ドイツのショルツ首相やNATOのストルテンベルグ事務総長らは、NATO加盟国の兵士が戦場に派遣されることはないとマクロン大統領の発言を強く否定したが、オランダやリトアニアなど一部のNATO加盟国からはマクロン発言に同調するような言及もある。
マクロン大統領は3月にも、ロシアがウクライナに勝てば次は欧州だと警告する発言もしている。