自動車の血管「ワイヤーハーネス」 進む電装化で“本数増加”という困難課題、新技術・素材革新の最前線とは
車の電子機器を接続するために欠かせないのがワイヤーハーネスだ。現在、搭載システムの増加にともない、その本数も増え、さまざまな課題を抱えている。
無線技術の課題と可能性
アルミ素材のハーネスについては、銅素材からの置き換えが比較的容易で、導電性などの課題をクリアしていることから採用が進んでいるが、他の方式についてはクリアすべき課題が多い。
光ファイバー方式は、現在の電線接続を光ファイバーに置き換えるという、ある意味わかりやすい方式であり、光ファイバーがインターネットの高速化などに使われてきたことを考えれば、当然の流れである。
光ファイバーは金属に比べて圧倒的に軽く、電磁ノイズの影響を受けにくいため、性能的には申し分ない。しかし、光ファイバーは経路間の屈曲に弱いという根本的な弱点があり、車内の各所でワイヤーハーネスが自由に曲げられる現在のレイアウトには対応しにくい。
車載システムが増え、狭いスペースにさまざまな電子部品が配置されるなか、光ファイバーの取り回しをどう改善するかがカギとなる。
一方、代替の無線技術では、配線そのものが不要になるため、レイアウトの問題が大幅に改善され、コストや重量の削減にもつながる。
しかし、外部からの電磁ノイズ等による通信障害の可能性が常につきまとう。現在、デンソーテン(神戸市)で研究中のシステムは、無線通信を主な通信手段としているが、バックアップとして有線通信回線も持っている。
この方式を車両全体に拡大すれば、膨大な数の無線通信と有線バックアップが確保されることになるので、無線通信の精度がどこまで向上するのか楽しみである