「若者のクルマ離れ」という“虚構”から、私たちはいつ抜け出すのだろうか?

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「若者のクルマ離れ」という言葉をよく耳にする。この言葉は、若者の消費パターンの変化を表す言葉として2000年代初頭から使われている。これは本当だろうか。

20代以下の「持ち家率」過去最高

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

「若者のクルマ離れ(以下、若クル)」という言葉を以前からよく耳にする。この言葉は、2000年代初頭から若者の消費形態の変化を表現する際に使われるようになり「若者の○○離れ」という俗流な表現のひとつとして定着した。

 だが、これは大きな間違いだったようだ。

 2024年3月22日付の『日本経済新聞』電子版の記事によると、住宅価格が高騰した2023年、「20代以下の持ち家率」が過去最高に達したという。

 20代の「3世帯に1世帯はマイホームあり」という水準だとし、賃上げなどの恩恵に加え、資産形成の一環として住宅購入を急ぐ動きが一部で見られるとしている。マイホームといえば、クルマはほぼ直結する。

 さらに記事では、総務省の家計調査のデータを引用し、世帯主年齢29歳以下のふたり以上世帯の持ち家率が2023年で35.2%に達し、2000(平成12)年以降で最高となったことを明らかにしている。この数値は2017年から7年連続で30%を超えており、20代で持ち家を持つことが珍しくなくなっていることがわかる。

 その背景には、収入と雇用環境の好転があるという。調査のベースとなった厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、過去10年間、20代の増収率が30~50代を上回っている。

 また、20代女性の正規雇用率が上昇傾向にあることや、結婚後の夫婦双方の世帯収入が安定していることも、住宅購入に前向きになる要因だと指摘している。

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