てんかん発作の「交通事故」後絶たず! 過去には児童6人死亡の大事故、個人モラルに依存した制度設計はもはや限界だ
道路交通法では、運転に支障をきたす状態での運転は禁止されているため、免許更新の際には「てんかん」を含む特定の病気を患っていることを申告することが義務づけられている。しかし、この制度には問題がある。
虚偽記載の罰則と制度の限界

そもそも、質問票に虚偽の記載があったかどうかを確認する方法がない。仮に虚偽の記載があったとしても
「1か月以下の懲役、または30万円以下の罰金」
で済んでしまう。現行の制度では、患者の危険運転を止めることには限界があるのだ。
実際、死亡事故後、遺族が警察庁に質問票による申告者数の調査を依頼した。当時の患者総数の3分の1を成人と仮定し、免許更新の頻度を考慮すると、自己申告率は「3%」と推定される。遺族は次のように述べている。
「私達は、てんかん患者の方が、運転してはいけないとは思っていません。運転ができないようにするつもりもありません。ルールを守り、きちんと申告して運転して欲しいと思っています」
「自己申告は、もはや限界です。一日も早く、不正取得ができない免許制度を構築し、不正取得者による事故を無くすことこそが、まじめにてんかんと向き合って、一生懸命生きていらっしゃる患者さんへの偏見をなくす事につながっていくのではないのでしょうか」
そして、「運転しないようにいいました」と述べた医師に対しては、
「あの医師は、結果として、加害者の命も、被害者の命も救っていません。命を救う事を生業としている医師が、本当にとるべき行動とは何だったのでしょうか……「私は言いました……」記者会見で必死に訴えるあの医師の姿は、我々の目には、ただただ空しく見えました……」
医師による届け出制度は守秘義務の範囲外とされ、口頭、書面、電話で行うことができる。つまり、遺族が訴えているのは、自己申告制と任意の届け出制度に関する問題なのである。制度設計に何が必要なのか、冒頭のケースを見直してみよう。