信号ないのに「ラウンドアバウト」が右折事故を減らせる理由
ラウンドアバウトとは、信号機のない円形の交差点のことで、左折で進入し、「時計回り」に走行し、目的地で左折して退出する。今回は、右折事故とラウンドアバウトの安全効果についてリポートする。
有効視野の制約と右折心理

ラウンドアバウトを出るときは、「左側の巻き込みと歩行者に注意を払う」必要がある。それに比べ、右折は直進車の速度判断(右折判断)と歩行者への注意が必要な運転操作である。
冒頭で「右折は運転を処理する脳への負担が大きく、事故が起きやすい」と書いたが、直進車の速度を判断し、横断歩道を渡る「人」に注意を払うための視野には限界がある。
有効視野の範囲は加齢とともに狭くなり、速度依存性が低くなることが研究で明らかになっている。つまり、有効視野とは物体を認識できる範囲のことで、加齢の影響を受け、速度が速くなると狭くなる視野のことである。
例えば、本を読みながら障害物を認識できる範囲ともいえる。筆者の経験では、有効視野は脳卒中後の運転再開を支援する上で重要であり、しばしば問題となるが、緊張した状況ではさらに狭くなる。
右折では、後続車からのプレッシャー、直進車に対する判断、歩行者の認識など、多くの心理的要因や連続的判断のなかで、交差点中央付近を走行しながら右折する操作が必要となる。そのため、通常の交差点での右折は、有効視野の観点から危険性が高い。
これに対してラウンドアバウトでは、周回中の速度が低下すると報告されている。実際の経験では、運転中は周回しているため、速度を上げようとは思わなかった。
また、ラウンドアバウトには後続車が存在する場合があるが、脱出遅れは「歩行者を待つ場合」程度であり、直進車を気にする必要はない。通常の右折で問題となるのは、直進車を避けるために急加速したり、斜めの軌道で右折したりする場合だと思われる。
ラウンドアバウトを利用した右折は、周回後の左折方向角度が緩やかであるため、視野の観点からメリットに感じられる。ただし、利用には注意が必要なこともある。