船舶のスエズ運河回避で、「海運会社の株価」が急上昇したワケ

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海運株は2023年末から上昇傾向にあり、新型コロナ感染拡大時の高騰が再び訪れそうな気配がにわかに漂っている。いったい何が起こっているのか。

海上貨物輸送の喜望峰迂回が原因

紅海の位置(画像:OpenStreetMap)
紅海の位置(画像:OpenStreetMap)

 海運株が2023年末から上昇を続けている背景には、12月中旬から繰り返されているイエメンの反政府勢力フーシ派による紅海を航行する船舶への攻撃がある。

 攻撃開始時点では、

「イスラエルに関連する貨物船を攻撃する」

というフーシ派による声明があり、例えば前述の長栄海運は、12月中旬にイスラエルでの輸出入業務を停止すると発表した。

 しかし、攻撃が断続的に繰り返されており、先のA.P.モラー・マースクをはじめ、MSC、CMA CGMいった大手海運会社が、船舶の安全確保から喜望峰(南アフリカ)への迂回を決定。アジア~欧州間所用時間が、迂回により片道で

「約2週間」

往復で約4週間も伸びることとなった。

 当然、所用時間が伸びると船舶不足が顕著となり、海上コンテナによる物流が逼迫し運賃が上昇。フランスの大手海運会社CMA CGMは、1月15日から貨物運賃を値上げすると発表しており、アジアから地中海地域への40ftコンテナ1個あたり3000ドルから最大で6000ドルと約2倍になるという。

影響はテスラのドイツなど多数

グリュンハイデの位置(画像:OpenStreetMap)
グリュンハイデの位置(画像:OpenStreetMap)

 貨物船舶の喜望峰への迂回は、さまざまな形で影響をもたらしている。

 テスラは、ベルリン近郊のグリュンハイデにある工場を1月29日から2月11日まで操業を停止すると発表した。中国から調達しているバッテリーといったパーツ不足が原因だ。

 テスラ以外では、ボルボのベルギー工場がわずかではあるが影響を受けたとの報道もある。日本の自動車メーカーでは、スズキも日本からの部品を届けられないため、ハンガリーの工場の稼働を一時停止した。

 自動車のパーツだけでなく、電子部品や中東から輸入している液化天然ガス(LNG)も少なからず影響を受けている。このほか、中国から輸入している日用品が商品棚から消えるのではないかとの不安が、欧州で広がりつつある。

 海運の話とは少し異なるが、仮に早期にスエズ運河を航行するルートが復活したとしても、2月10日から

「中国の春節」

が始まるためしばらくは品薄が続くのではないかと見られている。

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