ダイハツ不正「奥平社長は辞任すべき」 自動車エンジンに長年携わった私が願う“自己チュー組織”再生への唯一道

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先日、ダイハツの車の認証不正問題に関する記者会見が行われた。大手自動車会社でエンジンの企画・設計・開発に長年携わってきた筆者が第三者委員会の調査報告書を読み解く。

三種の認証違反の舞台裏解説

不正のイメージ(画像:写真AC)
不正のイメージ(画像:写真AC)

 今回の不正174件について、報告書は

・試験時の不正な加工と調整(28件)
・試験成績書類への虚偽記載(143件)
・試験データの捏造(ねつぞう)や改ざん(3件)

の三種類に分類した。これらはすべて認証試験に関するもので、設計に関するものではない。具体的な事例を各1件紹介する。

 まず「試験時の不正な加工と調整」について。認証試験用エンジンに、公差外の圧縮比設定、吸気通路径の拡大、エンジン制御コンピューターの書き換えなど、外観から判別できない加工や調整を行っていたと判断された。特に指定がなければ、設計公差内での部品の選別や調整(気筒間の圧縮比や運動部品重量のばらつきを低減する調整等)は可能だが、ダイハツの事例は許容範囲を完全に逸脱している。

 次に「試験成績書類への虚偽記載」。これはダイハツでまん延していた。試験を実施した車両の重量が規定範囲より軽く、試験自体が無効だったにもかかわらず、再度試験を行うことなく、試験成績書には規定範囲の重量値を記載して合格させた事例があるが、法規上問題がないのに虚偽記載をした事例もあり、認証書類の意味を全く理解していない、といえる。

 三つ目の「試験データの捏造や改ざん」は、ポール衝突試験で、試験結果を捏造(他の類似試験の結果を流用)して試験をせずに合格させた事例だ。日程も試験車もないため書類を偽造したのだが、それが社内を通りぬけたことも大きな問題である。

いずれも、法令順守の意識はないと筆者は考える。

 ダイハツは国土交通省に対し、今回認定不正が確認された142件のうち141件について、TRJが基準適合性と諸元値の妥当性を確認したと説明している(1件は不適合の可能性あり)。つまり、設計は正しく「不正が故障や事故を招くことはない」ということなのだが、この説明を理解できない人も多いだろう。

 例えば、米国の認証では、排ガス性能に影響するシステム、配管図、燃費ラベルなども提出するが、部品(設計)が正しくても、認証書類の記載内容に誤りがあれば、リコール対象となる。

 つまり、型式認証制度では、認証書類は「試験車の代替物」なのだが、多くのダイハツ社員の多くにその認識はなかった。

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