白いロマンスカー「VSE」引退で考える 「首都圏有料特急」という未来、通勤利用への大転換は吉と出るか凶と出るか

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ロマンスカーはビジネスユースが多い。では、昔のように観光客向けのデラックスな雰囲気の車両を作ることは不可能なのだろうか。

豪華さ第一だったVSE

ロマンスカーVSE(画像:写真AC)
ロマンスカーVSE(画像:写真AC)

 12月10日、小田急電鉄はロマンスカーVSE(50000形)のラストランをもって、完全引退とした。2005(平成17)年3月に運用を開始後、約17年にわたっての活躍を終えることになった。

 20年もたっていない車両を引退させるには、理由がある。まず、1両あたりの車体長が短い連接車という特殊な車体構造ゆえ、ホームドアに対応できなかった。VSE以外の小田急電鉄の車両はすべて1両あたり20mの車体であるゆえ、規格外の車両となってしまった。

 連接車という構造ゆえに、機器の更新などが難しいという問題もある。また、アルミ合金を使用し、ダブルスキン構造となっている車体は、加熱での補修が不可能となっており、簡単に修理ができない。

 サービス面での陳腐化も課題となっていた。以前は車内販売が乗車しており、その前は「走る喫茶室」というシートサービスを採用していた。VSEは箱根観光を強く意識し、サービスの豪華さに特化した車両だったため、車内に自動販売機がなく、車内販売がなくなってしまうと単にサービスの悪い車両となってしまった。

 小田急電鉄では、ほかのロマンスカーには自動販売機を備えている。車内販売の代替という扱いだ。「モーニングウェイ」「ホームウェイ」などには車内販売がない列車も多く、それらの乗客に対応するためである。しかし、VSEはシートサービスに特化した車両となっていた。

 なお現在では、車内の自動販売機は小田急以外ではなくなっている状態にあり、自動販売機すら貴重であるともいえる。

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