東急創業者はなぜ“強盗”と呼ばれたのか? 鉄道会社と敵対的買収、不採算路線切り捨てに巣食う現代の“物言う株主”たち

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鉄道業界は、かつて激しい買収劇が繰り返されていた。東急グループの創始者・五島慶太のエピソードと、今後の鉄道会社が直面するリスクについて考える。

戦前からさかんに行われていたTOB

東急電鉄 5000系車両(画像:写真AC)
東急電鉄 5000系車両(画像:写真AC)

 鉄道は重要な公共インフラだが、同時にその多くが営利目的の株式会社によって運営されている。そのため、鉄道会社の経営は株主の意向に左右されるし、場合によっては買収によって会社を乗っ取られることもある。そして、実は鉄道業界こそ、かつては激しい買収劇が繰り返されていたのである。

 今回は、敵対的買収やアクティビスト(物言う株主)に長年対峙(たいじ)してきた弁護士が書いた太田洋『敵対的買収とアクティビスト』(岩波書店)と、そのなかでとり上げられている東急グループの創始者である五島慶太のエピソードについて、五島自らが語った『私の履歴書 経済人 1』(日本経済新聞社)によってたどり、さらに今後の鉄道会社が直面するリスクについて考えてみたい。

 日本における敵対的買収については、2000(平成12)年に村上ファンドが昭栄(現ヒューリック)に敵対的株式公開買い付け(TOB)を仕掛けたのがそのはじまりのように語られることもあるが、実は戦前から敵対的買収はさかんに行われていた。

 例えば、現在のJR中央線は、明治時代の相場師として名高い雨宮敬次郎が敵対的に買収した甲武鉄道が敷設した路線がもとになっている。

 そうしたなかで、敵対的買収を駆使して東急グループを作り上げたのが五島慶太だった。

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