女性専用車両は不公平? 東京「男性専用車両」イベント開催にみる、“弱者男性”という誤解された、不可視な存在
現実的な必要性と導入の課題

では、男性の性被害や痴漢冤罪を防ぐために、男性専用車両が常設される兆しはあるのだろうか。
2000(平成12)年、京王電鉄がテストケースとして女性専用車両を導入した際には、早くも男性専用車両を求める声があったとされる。しかし実現の兆しはない。2008年には、西武鉄道を中核とする西武ホールディングスの株主総会で、男性専用車両の導入案が
「4割近い株主の賛成」
を得たが、同社は乗客からの需要がないとして応じなかった。『朝日新聞』2015年9月6日付大阪版では、率直な理由が報じられている。
「他の鉄道会社にも男性専用車両を求める意見が届くことはありますが、導入を検討している社はありませんでした。JR西日本広報部の担当者は「痴漢に間違われるのはまれなケース。男性専用車両を求める声は多い状況にない」。別の鉄道会社の広報担当者は「男性専用車両はむさ苦しくて、乗りたくない人が多いのでは」といいます」
男性専用車両がむさ苦しいかどうかは人それぞれだが、これまで信頼できる調査は行われていないものの、女性専用車両に比べればニーズがないことは明らかである。
痴漢や痴漢に間違われるケースを防ぐのが目的なら、監視カメラを設置したほうがより効果的な対策となり、犯罪を未然に防げる。また、女性専用車両については、導入当初から車両で区分するよりも
「混雑を緩和」
したほうが痴漢を防げるのではないかという議論があった。
何より、女性専用車両が普及した今でも、混雑時の乗り間違いは防げない。ラッシュ時に1両しかない女性専用車両でも間違える人はいるのだから、そこに男性専用車両が加われば、さらにトラブルが増えることになる。
男性専用車両は、弱者男性の問題意識を高めるという点では効果的かもしれない。しかし、常設するほどの必要性は今のところないのが現状だ。