女性専用車両は不公平? 東京「男性専用車両」イベント開催にみる、“弱者男性”という誤解された、不可視な存在
国際男性デーを前にした11月18日、都電荒川線で「男性専用車両」が運行された。弱者男性のPRイベント。今後どうなるのか。
弱者の根源と構造の変化

弱者男性論の元祖とされるフリーライターの赤木智弘氏は、こうした風潮に首をかしげている。
「自分は単純に経済的な問題として弱者となっている男性の問題を提起していました。ところが現在では、自分たちを被害者だとして、相手を“悪魔化”する文脈のなかで弱者男性が使われているように感じます」
赤木氏は、問題を解決する意思もないのに、弱者男性への恨みを深める風潮に警鐘を鳴らす。なぜ、自分を弱者に仕立て上げ、他者を攻撃するような風潮がまん延しているのか。
「基本的にもうからないからでしょう。従来の日本型社会で存在していたような成功体験は、もう作ることができなくなった。そこで自尊心を保つために弱者として振る舞おうとしているんです。与党や権力を支持する人が増えているのと同じ現象ですよ」
赤木氏の指摘が重要なのは、弱者男性の問題が個人の認識の問題である一方で、その背景には社会構造の変化があることを示しているからだ。つまり、彼らは機械化によって職を失ったかつての労働者に似た社会の産物なのである。したがって、彼らの主張を「たわごと」だと切り捨てるのではなく、彼らの複雑さを理解した上で耳を傾けることが重要ではないか。
今回の男性専用車両は、彼らがインターネットミーム(インターネット上で言葉や画像、動画などの情報が模倣によって広まること)ではなく現実に存在することを示したという意味で、こうした社会的議論を喚起する画期的なものだった。