女性専用車両は不公平? 東京「男性専用車両」イベント開催にみる、“弱者男性”という誤解された、不可視な存在
国際男性デーを前にした11月18日、都電荒川線で「男性専用車両」が運行された。弱者男性のPRイベント。今後どうなるのか。
男性の悲痛な声
国際男性デー(11月19日)を前にした11月18日、都電荒川線で「男性専用車両」で運行された。NPO法人日本弱者男性センター(東京都中央区)が企画した車両の貸し切りイベントで、今回で3回目。参加者は12人だった(スタッフ、報道陣を加えて総勢25人)。
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同センターの定款によると、弱者男性とは
「痴漢冤罪(えんざい)や痴女などといった性犯罪の被害にあう、配偶者あるいは恋人からのDVや周囲の者から苛めや虐待を受ける、精神疾患や環境によって就職が困難な者等であって、尚且つその事実または意見が社会的に広く認知されていないような男性」
と定義されている。イベント開催の目的も、こうした男性が性的被害や痴漢冤罪に対する恐怖や不安を抱えているという事実に対処することである。
イベントに対するSNSでの反応は多く、男性専用車両の必要性を支持する声もあれば、性別で車両を分けることの是非を問う声もあった。賛否はさまざまだが、この試みが公共交通の分野で議論を呼んだことは間違いない。
『朝日新聞』2023年11月2日付朝刊によれば、弱者男性はもともとネットスラングとして生まれ、「経済的、社会的、心理的な側面で不利な立場にある男性」を指していたという。近年では、雑誌『現代思想』2022年12月号に掲載の「「弱者男性論」の形成と変容:「2ちゃんねる」での動きを中心に」などが話題となった。