トヨタ純利益過去最高の3.9兆円にみる、「次世代自動車」の本命とは? 日本を“エネルギー強国”にするための8策を提言する

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エネルギー転換での出遅れは、トヨタだけでなく日本全体の問題だ。日本が化石燃料の省エネ・環境技術で世界トップに立っていることが、再生可能エネルギーへの転換を遅らせる要因になっている面もある。

全固体電池、トヨタの成功が鍵

トヨタの連結純利益推移:2021年3月期~2024年3月期(会社予想)トヨタ決算資料より作成(画像:窪田真之)
トヨタの連結純利益推移:2021年3月期~2024年3月期(会社予想)トヨタ決算資料より作成(画像:窪田真之)

 次世代自動車でトヨタが大逆転して世界トップに躍り出ることは可能だろうか。そこには、ふたつの可能性がある。

・燃料電池車(FCV、水素エネルギー車)が世界標準になればトヨタにも勝機がある
・トヨタが全固体電池EVの実用化にいち早く成功すればEVの勢力図が変わる

 トヨタは、FCV「MIRAI」の開発実用化で世界トップを走っている。ただし、

・生産コストが高い
・水素流通インフラがない

ことから、次世代自動車としてEVに対抗する存在とは見られていない。

 ただし将来、水素インフラの整備が進み、量産による低コスト化が進めば、EVを超える人気を得るポテンシャルはある。EVと比べて、

・燃料充填時間が短い
・大きなパワーを出せる

ことが、水素エネルギー車の魅力です。既存のガソリンステーションを水素ステーションとして活用することができるかが鍵となる。

 ただ、世界各国ともEVを次世代車と決めて注力しており、水素エネルギー車普及に積極的に取り組まない可能性がある。水素ステーションの整備が進まなければ、FCVの普及も進まない。次世代車はあくまでもEVで、FCVは大きなパワーが必要とされる大型トラックやバスなどで限定的に使われるだけかもしれない。

 それでは、トヨタはEVでテスラやBYDに近づくことはできるだろうか。命運をわけるのは、

「EV用全固体電池の開発成否」

だ。EVの致命的欠陥として充電時間が長いことがある。ガソリン車のように、日中短時間で燃料補填することができない。この欠点を補うものとして期待されているのが、トヨタが開発で先行するEV用全固体電池だ。

 開発に成功すれば、ガソリン車の給油と同様に、短時間で充電が可能になる。トヨタがいち早く実用化に成功すれば、短時間で大きなエネルギーを充填できるようになる全固体電池EVが、

「EVの世界標準」

になると考えられる。

 以上、トヨタ巻き返しにつながるふたつの可能性に期待されるものの、現時点では上記ふたつとも実現の可能性が高いとはいえない。現時点で、トヨタが新エネルギー車への転換で出遅れていることが、トヨタにとって重大なリスクなのだ。

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