新幹線「喫煙ルーム」廃止 非喫煙者の私が感じた猛烈な「違和感」 正しい企業対応の裏に潜む“無思考社会”への懸念とは

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JR各社は、2024年春をめどに新幹線車内の喫煙ルームを廃止し、全面禁煙にする方針を発表した。この決定により、東海道・山陽・九州新幹線の全列車が対象となり、車内で紫煙をくゆらせる光景はついに見納めとなる。

非喫煙者が考えるタバコの存在

喫煙ルームのイメージ(画像:写真AC)
喫煙ルームのイメージ(画像:写真AC)

 JR各社は、2024年春をめどに新幹線車内の喫煙ルームを廃止し、全面禁煙にする方針を発表した。この決定により、東海道・山陽・九州新幹線の全列車が対象となり、車内で紫煙をくゆらせる光景はついに見納めとなる。

 筆者(星野正子、20世紀研究家)は非喫煙者だが、喫煙ルームの廃止という方針には少なからず

「違和感」

を覚える。それは、単に健康意識の変化や喫煙者の減少だけでは説明できない別の要因が混じっているからである。タバコを一方的に“悪の権化”に仕立て上げる流れを感じずにはいられない。それを

「禁煙ファシズム」

と呼ぶ。行き過ぎた禁煙政策や喫煙者の権利や自由を制限する禁煙キャンペーンに対して使われる批判的な言葉である。

 1964(昭和39)年に東海道新幹線が開業したとき、車内での喫煙は自由だった。もちろん在来線も同様だった。ラッシュ時の駅のホームでは、多くの人が喫煙しているのが当たり前だった。しかし、時代とともに変化する社会の価値観や健康志向の高まりとともに、徐々に制限されていった。

 1981年、新幹線の歴史に大きな転機が訪れる。ひかり、こだまの1号車が禁煙車として運行を開始したのだ。1985年には指定席やグリーン車にも禁煙車が導入され、車内からタバコの臭いが徐々に消えていった。

 国鉄からJR東海への移行とともに禁煙車は増え続け、1990年代にはそのペースはさらに速くなった。のぞみの16両編成のほぼ半数を禁煙にする取り組みがなされた。

 2002年に千代田区の路上喫煙禁止条例が施行され、タバコのポイ捨てや受動喫煙が大きな社会問題になると、新幹線の禁煙化もさらに進んだ。

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