山手線「防犯カメラ」強化 撮影データが悪用されないことを保証する法制度が不可欠だ
列車内での事件多発を受け、鉄道への防犯カメラ設置が進められている。国土交通省は、三大都市圏と新幹線の全路線を対象に、新造車両への防犯カメラの設置を義務づける方針を立てている。
悪用されない法制度不可欠

では、乗客の安全を守る目的で防犯カメラの強化を実施するために、必要なことは何か。
これはJRのような個別企業の努力ではない。個人情報保護法では、防犯カメラの設置に際し、利用目的の通知や保存情報の内容の正確性を求めている。しかし、本人の同意は必要なく、具体的な運用やデータの保存については自治体のガイドラインがいくつかあるくらいで、法整備には至っていない。
もしも、JRのような公共性の高い企業が防犯効果を期待して強化を行うなら、まずは
・データ収集の条件
・保存期間やチェック体制
などの整備を求めるべきだろう。
既に防犯カメラが普及して長いにも拘わらず監督機関が不在なのも問題である。この監督機関も防犯カメラを利用する事業者が第三者機関を設置するのか。あるいは、行政主導による機関とするのか検討が必要だ。
JR東日本が相次いで防犯カメラを強化するのは、列車内での事件が多発していることから、利用者の理解を得やすくする狙いがあったように感じられる。その結果、運用方法や実施スケジュールの提示がおろそかになった。効果が高いとはいえ、犯罪やマナー違反とは無縁の個人情報の収集に疑念を抱く人も少なくない。
最先端技術を駆使して乗客に安心感を与えたいという意志はよく理解できる。しかし、そのためには、たとえ防犯カメラで撮影されたデータであっても悪用されないことを保証する法制度が不可欠である。