山手線「防犯カメラ」強化 撮影データが悪用されないことを保証する法制度が不可欠だ
監視社会と犯罪抑止のはざま

日本国内で防犯カメラの設置が急増した背景には、2000(平成12)年に発生した「世田谷一家殺害事件」がある。
この未解決事件により、防犯カメラへの関心が高まった。また、2000年代初頭の
・路上犯罪
・ピッキング盗
の増加も普及を後押しした。防犯カメラは当初、
「監視社会の到来」
として恐れられていたが、犯罪抑止に効果があるのは間違いない。
例えば、治安化以前が課題となっていた愛知県刈谷市では2011年度から街頭に防犯カメラの設置を開始し、900台を超える防犯カメラを設置した。この結果、2003年度には4500件だった刑法犯認知件数は急速に減っていった。
2012年には2239件(設置台数106台)だったものが、2017年には1200件(設置台数930台)まで減少した。これ以外にも、防犯カメラの設置による犯罪の減少は公開されている多くのデータで明らかになっている。
一方で、ここまで記してきたように、
「常に監視されている」
ことに対して不安を抱くこと声は消えない。ゆえに、防犯カメラの技術的な可能性を考えると、どの情報をどの程度収集し、どのような組織で運用するのかについてのコンセンサスが不可欠である。
現在のJR東日本の防犯カメラデータ収集強化の動きを見れば、同社が信頼できる組織であることは明らかだ。しかし、安全を優先した過剰な情報収集は、利用者の全面的な支持を得ているわけではない。
同社はこのシステムを山手線の1編成で試験的に導入し、将来的には全編成に拡大する予定だ。プライバシー保護のため、映像の確認は非常通話装置が作動したときのみとし、限られた社員のみが映像を閲覧できるようにする方針である。
しかし、こうした対策だけでは、実際にシステムがどのように運用されるのか、映像が何に利用されるのかは不明であり、多くの疑問が残る。