多くの女性客がトランスジェンダーの「タクシー運転手」を歓迎するだろう理由

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日の丸交通(東京都文京区)は女性、外国人、トランスジェンダーを含めたLGBTの人たちを積極的にドライバーとして採用している。そのメリットと業界を取り巻く状況とは。

女性客にとっての安心感

タクシーの標識(画像:写真AC)
タクシーの標識(画像:写真AC)

 また女性客にとっても救世主となる可能性がある。多くの女性客にとって、トランスジェンダーのドライバーは大歓迎だと考えられるからだ。

 女性客がタクシーを利用する際、特に夜間は女性ドライバーが一番安心できる。男性ドライバーのほとんどが問題行動を起こさないものとわかっていても、である。

 女性ドライバーの次に、トランスジェンダーのドライバーに安心を感じる。もちろん、その人の性志向が異性愛者なのか同性愛者なのか、両性愛者なのかはわからないのだが、それでも男性ドライバーより安心感を覚えるものだ。トランス女性の場合は、女性的だから。トランス男性の場合、女性として生きた経験があるから。

 ジェンダーフリートイレや温泉などでは、偽のトランスジェンダーの存在があるが、タクシー会社に所属するドライバーでは、偽の可能性はないだろう。夜間のタクシー利用では、女性客は緊張する場合が多いので、特に人当たりのよさは非常に重要だ。

 個人的な話であるが、筆者(才田怜、ジェンダー研究家)が以前、母とカフェに連れ立って出掛けた際、店員であるトランス女性に母を紹介すると、洋服の色の組み合わせを褒めてくれた。それは、筆者の女性の友人たちからも出てきたことのないジャンルの褒め言葉で、母も筆者も温かい気持ちになり、その後の会話が弾んだ。

 彼女はほかにもさまざまな細かいことに気を遣うタイプの人で、母は好感を抱いた。母に限らず、一般に年配の女性は寛容で、トランスジェンダーの人たちとの親和性があるように思う。

 すべてのトランスジェンダーの人たちが、コミュニケーションが得意なわけではないだろうし、移動が主目的であるので、よくしゃべる人である必要はないのだが、誤解を生まない程度に能力がある人が採用されているはずだ。

 タクシードライバーとして、一般の乗客と接することで、トランスジェンダーを含めたLGBTQへの世間の理解が進んでいくことも含め、こういった採用がタクシー業界全体で進んでいくことを心から願う。

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