トヨタ、コロナ後の業績回復も 全然油断できない「中国事情」
8月1日、トヨタは2023年度第1四半期の連結決算を発表した。それから約1か月が経過。さまざまな方向からの分析を経て、トヨタの現在の経営状況とグローバル市場における当面の課題の詳細が明らかになりつつある。
組織改編と今後

こうした中国市場固有の事情に対して、トヨタはEVや自動運転車といった最新技術について、今後の開発生産体制の改善を目指した組織の改編を実施した。それがくしくも四半期決算発表と同じ2023年8月1日に新たな名称が発表された「インテリジェント・エレクトロモビリティR&Dセンターbyトヨタ・チャイナ」である。
トヨタにとって中国における新型車開発センターの中核というべきこの組織は、これまで日本国内や欧州、北米などの拠点で開発した後に中国仕様に手直しするという手法を全面的に改めたものとなる。
すなわち、電動化や自動化、そのほかの先進技術を中国市場に即したものを前提に中国国内において開発するというもの。その上で、使用する部品のサプライチェーンや下請け企業も含めて、あくまで収益性を重視し再構築することを目指す。
中国の自動車市場は、昨今の電動化への急激なかじ取りを見るまでもなく国家主導の動きに速やかに対応することが重要だ。トヨタはこれまで中国国内における生産技術と収益性の向上などの現場の運営はある意味合弁会社による決定に依存していた。しかしここに来て、将来的なトヨタの中枢というべき開発拠点の創設とともに新たな道筋作りに挑むというわけである。
これがどのように功を奏するか。いわゆるチャイナリスクとの兼ね合いもあるなか、単なるコスト削減には終わらない難しいコントロールが待っていることは間違いない。