トヨタ、コロナ後の業績回復も 全然油断できない「中国事情」
8月1日、トヨタは2023年度第1四半期の連結決算を発表した。それから約1か月が経過。さまざまな方向からの分析を経て、トヨタの現在の経営状況とグローバル市場における当面の課題の詳細が明らかになりつつある。
改善は継続予想

かねてトヨタはEV関連の開発と生産の遅れがアナリストなどの間では指摘されることが多かった。しかし実際のところ、世界の主要な市場では依然として純粋なEVよりはHVやPHVの人気が高い。
ここ1年余りの期間というもの、これらの生産遅延の原因だった半導体部品の供給が改善したことで、生産体制が以前の状態に戻りつつあることが、業績が改善した主要な理由であると思われる。
営業収益や営業利益の内容については、各地の生産現場での原価改善が行われ相応の効果を見せた一方、原料資材の高騰や労務関係諸経費の高騰、さらには為替差益など複雑な要素が介在したことで、最終的には収益と減益が混在する状態となっている。
その内容についてはシンプルな評価が難しい一方でトータルでは良い方向に向かっていることは間違いない。その結果が前述した1兆円越えの収益だったということである。
こうした決算結果を見る限り、トヨタの経営はいわゆるコロナ禍とウクライナ紛争に関連する深刻な混乱を脱したものと推測できる。すなわち、今後はよほどの国際的な大事件でも起こらない限り、おおむね改善傾向は継続するということだ。