今も残る欧州「吊り掛け駆動」 鉄道の近代化で、現役車両を見られるチャンスは最後かもしれない
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欧州では、新造車両で吊り掛け駆動方式を採用するのは機関車くらいに限られているが、現役で残る吊り掛け駆動の車両は、今もまだ比較的多い。
猛スピードで進む鉄道の近代化

オーストリアやポーランド、チェコ、スロヴァキアといった中欧諸国にも、通勤用や近郊用に、古い吊り掛け駆動の車両が使われている。チェコは近年、車両の近代化が進められ、急速に数を減らしているが、それ以外の国は今も多くの車両が現役として使用され、当面は残ることになるはずだ。
フランスやイタリアは、かつては通勤・近郊用電車に吊り掛け駆動の車両が見られたが、すでに新型車両への置き換えが完了しており、営業用の車両として残っているものはない。
一方で路面電車は、まだ多くの車両が現役で残っていると錯覚していたが、欧州では20世紀後半からフルフラットの100%低床式車両が各都市で次々と導入されており、意外にも高床式の旧型車両が現役で残っているところは少ないようだ。
まとまった数の吊り掛け駆動の車両が残っている都市といえば、1928年から2年間に500両が大量生産され、今も100両以上が現役の1500型車両、通称ヴェントットが活躍するミラノがすぐに挙げられる。ただし、シュタドラー製新型低床車両7200型の納入がすでに始まっており、近いうちに置き換えられていく可能性が高い。
まだまだ多くの吊り掛け車両が現役と思っていた欧州だが、鉄道の近代化は想像をはるかに超えるスピードで進められているように感じる。吊り掛け駆動方式を採用した、旧型車両の現役の姿を見たい鉄道ファンにとって、もしかしたら今がこれらの車両を見ることができる最後のチャンスといえるのかもしれない。