トラックドライバーの幸福感、「物流の2024年問題」や自動運転で二極化へ【短期連載】どうなる?これからのトラックドライバー(3)

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物流業界は、大きな転換期を迎えようとしている。長時間労働はより厳しく規制され、トラックの自動運転・無人運転も、遠からず実現するであろう。先行きの不透明な今、トラックドライバーの行く末を考える。

ドライバーのこれから――現場で得た知見をフィードバックする

「よりたくさん」運べるようにすることで、運送ビジネスの収支を改善しようとする動きもある。最たるものは、積載率の向上だ。

 現在、トラック輸送の積載率は、40%以下にまで低下しているといわれている。1990年代には50%以上あったというから、2割以上、積載率が低下していることになる。積載率低下の背景には、時間指定をはじめとする荷主側のニーズがある。荷主の期待に応えようとした結果、運送会社が自らの首を絞めてしまった。従って、積載率を向上させるには、荷主側の協力が必須だ。荷姿や時間指定の見直しなどを荷主に働きかけるなど、積載率向上につながる改善策を提案できるはずだ。

 積載率の向上だけではない。荷役ロボットの導入による倉庫の自動化やマネジメントなど、運送会社側でできることもあるはずだ。

 この観点で言えば、ドライバーには、現場を知る立場から改善策につながる知見の提供や改善策の立案そのものに主体的に関わっていくという道がある。労働集約型労働の代表例といわれるドライバーが、「考えること」を主体とする知識集約型労働の領域に踏み込むのは、今後のドライバーに求められる道の一つではあろう。

 ほとんどのドライバーは、こういった改善提案活動に携わった経験がない。その意味で、これは困難な道であることは確かだ。しかしドライバーが経験し、蓄積してきた現場の知見を活かすことができれば、それは大きな武器となる。

 余談だが、元ドライバーとして、現在はこういった執筆活動等を行っている私自身が、現場で得た知見の希少性や有効性は、肌身で感じている。また、私のようにカビの生えた経験ではなく、つい先日までドライバーであった人が身に付けた知見を活かし、物流DXを主導的に先導するようなケースも、徐々に散見されるようになってきている。

ドライバーのこれから──「手間がかかること」にこそ活路がある

 第2回において私は「『やりたくないこと』にこそ活路がある」と書いた。その例として挙げたのが、以下である。

(1)集荷先、配送先が本来行うべき作業を、代行すること。
・手積み手卸しによる、積載効率の追求。
・棚入れ。
・ドライバー自身がフォークリフトを運転し、荷役を代行する。

(2)輸送業務とは異なる、別の役務を提供すること。
・配送先におけるカタログ販売。
・配送先の高齢者に対する見守りサービス(ヤマト運輸で実施中)。
・買い物代行サービス(ヤマト運輸で実施中)

 ただし、これらが、今後のドライバーや運送会社の活路として活きるのは、対価が得られることが大前提である。特に(1)に関しては、未だに無料で行っているケースも多い。また(2)に関しては、対応できるドライバーとできないドライバーが出てくるだろう。第1回、第2回で言及したとおり、これこそドライバーのサービス業化が必要な領域である。

 トラックの運転だけしていれば良い、といったドライバーや運送会社は、今後ももちろん残っていくだろう。しかしそれだと競合他社との差別化はできない。差別化ができないということは、ドライバーの収入アップにつながらない。逆に言えば、運送ビジネスの中で勝ち組となる運送会社でありドライバーは、これまで敬遠されてきた手間の掛かる付帯業務に取り組んでいくことがポイントになると、私は考えている。

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