自動車関連税の「基準」抜本見直し 都の提言の課題【連載】和田憲一郎のモビリティ千思万考(4)
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答申に対する課題は何か
ここから筆者の意見を示したい。勝手な意見かもしれないが、今後「排気量基準」に対して、欧州と同様な「CO2排出量基準」も加えることは賛同するが、さらに「重量基準」も加えることには疑問が残る。
なぜなら、電動車、特にPHEVやEVの場合は重い電池を搭載しており、結果的に車両重量はガソリン車、ディーゼル車に比べて不利になる。このような状況下で、「重量基準」までも加えてしまうと、せっかく「CO2排出量基準」で電動車に配慮しても、メリットを相殺してしまうと考えるからである。
さらに、将来的には「走行距離課税」も想定しているとのことであるが、これもかなり難しい問題がある。特に、誰がどれだけ走行したのか、全ての車両を政府や東京都が把握することは困難だ。また現実的にはメーター数値改竄の問題もある。さらには、所有から利用への形態が広がる中で、カーシェアリングの利用料金などにさらなる課税をすることにもなりかねない。とにかく不確定要素が多いように思われる。
それより、東京都が2030年までに新車販売100%非ガソリン化を目指すのであれば、あと8年しかないことから、段階的に非ガソリン化に向けた施策、つまりアメとムチの要素を入れることが望ましいのではないかと考える。
現在の自動車関連税制では、電動車に対して自動車重量税のエコカー減税や、自動車税および軽自動車税のグリーン化特例が講じられている。しかし、これらはガソリン車、ディーゼル車から電動車に切り替えていこうとするインセンティブとして弱いのではないだろうか。今後、ガソリン車、ディーゼル車から電動車への移行を早めようとすれば、エコカー減税というアメの要素のみならず、ある意味、ムチといわれるガソリン車、ディーゼル車への環境課税が必要にも思える。
報道されるように、中国ではガソリン車に対するナンバープレート規制があり、ナンバー取得のために競売制度など多額の費用が必要とされている。日本ではこれと同様なことは無理としても、ムチの要素を考えることは大切なように思われる。国全体として自動車関連税制の中で取りまとめようとすると、相当の時間を要するかもしれないが、喫緊の課題に差し迫った東京都としては、独自の環境課税などの施策も一案ではないだろうか。