物流業界の救世主か、はたまた単なる“お役所仕事”か? 国交省「トラックGメン」創設、定員わずか162人というお寒い現実
総数わずか162人、事業者は6万以上
今回、辞令が交付されたトラックGメンの総数はわずか162人である。この数字は当初の規定定員82人に対して、80名を緊急増員することで実現したものであり、下手をすれば82人でのスタートになりかねなかった。
一方、わが国の運送業者の数はどれくらいあるのだろう。2022年3月発表の国土交通省の現時点での最新データによれば、
・特別積み合わせ貨物運送業者(特積):313社
・一般貨物運送事業者(一般):5万7856社
・特定貨物運送事業者(特定):320社
・霊柩(れいきゅう)運送事業者(事業許可としては一般の一部とされている):4762社
の合計63251社となっている。この総数は対前年度比で407社の増。増加数が一番多かったのは一般事業者の375社である。単純計算すれば、トラックGメンひとりあたりの運送業者数は
「390社」
である。
従業員10人以下の事業者が半数
これらの運送事業者の事業規模の内訳をさらに詳細に見ると、従業員10人以下の事業者が3万1021社(49%)と全事業者のほぼ半数というもの。30人以下に広げると、その割合は81.8%となる。
保有するトラックの台数を見ても、10台以下の事業者も3万4613社(54.7%)とこれも半数強である。これを30台以下に広げると、その割合は85.4%にまで高まる。すなわち事業規模的には
「中小が大多数を占めている」
ということになる。
こうした中小事業者とそこに勤務する運転者にとって、
「荷主の意向は絶対」
である。その力関係は明確だ。
ちなみに過去に実際にあった荷主や元請け事業者から運転者に対する不当な要請や指示としては、次のようなものが挙げられる。
1.長時間の荷待ち
2.当初の依頼にはなかった付帯業務
3.運賃・料金の不当な据え置き
4.過積載運行の要求
5.無理な配送依頼
6.拘束時間超過
7.異常気象時の運行指示
これらのなかで最も多かったのは、「1」の長時間の荷待ちだった。