三菱EV「ヤマダデンキ」で販売開始 EV普及加速で法人需要掘り起こしも、思い出される13年前の苦い記憶
7月、ヤマダデンキは三菱自動車との協業ビジネスとして、既存の家電量販店でのEVの販売を開始した。ただこれまで、自動車ファンからは「受け入れられない」という意見も少なくなかった。
展開は2車種、法人向けのみ
2023年7月、ヤマダデンキ(群馬県高崎市)は三菱自動車との協業ビジネスとして、既存の家電量販店での電気自動車(EV)の販売を開始した。
今回販売を行うこととなったのは神奈川県と埼玉県の合計5店舗。販売するのは
・軽EV「eKクロスEV」
・商用タイプの軽EV「ミニキャブ・ミーブ」
の2車種。販売対象は法人向けのみとなる。
ヤマダデンキと三菱自動車のEV販売協業は、実はこれが初めてではない。2010(平成22)年には当時の三菱の新型EVだったアイミーブを一部の店舗を通じて販売した実績がある。この協業はアイミーブの生産終了にともなってこちらも終了。その後は後継モデルがなかったこともあり、継続されることはなかった。
前回の協業から13年。ヤマダデンキと三菱自動車の双方において、どういったビジネス戦略とともに今回の決定に至ったのだろうか。
まずヤマダデンキだが、こちらは数年前から新規事業としてEVに関連する各種充電設備の設置と運営に注力している。さらにEV充電設備を備えたスマートハウスの展開に加えて、デリバリー方式の車検サービス「ヤマダ車検」を通じての自動車整備関連事業への進出も加速させている。
こうしたEV社会を総合的に見据えたビジネス戦略の背景にあるのは、ヤマダデンキにおけるEV事業への思いである。それはまさしく、今後はEVを家電の一部として取り扱って行くという確固とした決意と言い換えられる。
EVが家電に近い商品となる――。こうした考え方は数年前からさまざまな方面から指摘されてきたことでもある。とはいえ、主として自動車ファンの心理としては
「受け入れられない」
という意見も少なくなかった。