三菱EV「ヤマダデンキ」で販売開始 EV普及加速で法人需要掘り起こしも、思い出される13年前の苦い記憶

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7月、ヤマダデンキは三菱自動車との協業ビジネスとして、既存の家電量販店でのEVの販売を開始した。ただこれまで、自動車ファンからは「受け入れられない」という意見も少なくなかった。

新規需要開拓を見越した判断か

ヤマダデンキのウェブサイト(画像:ヤマダデンキ)
ヤマダデンキのウェブサイト(画像:ヤマダデンキ)

 こうした状況を思えば、三菱にとって今最も必要なものは新たな販売チャンネルであることは容易に想像できる。その上で今後EV需要が拡大して行くことを思えば、周辺設備の同時提案も可能な今回の様な協業は大いに期待できるというものだ。

 近年、EVの本格的な普及においては、

「商用モデルの法人需要」

の掘り起こしこそが重要であることがわかってきた。今回のヤマダデンキと三菱自動車の協業は、まさしくこうした新規需要開拓を見越してのことである。

 とはいえ、家電量販店でクルマを販売して本当に大丈夫なのか。車両メンテナンスなどは信頼に足るサービスが確保できるのか。という素朴な疑問が生じるのも仕方のないことである。

 これについて、ヤマダデンキは東日本三菱自動車販売と提携しつつ、日本自動車車体補修協会(JARWA)とも連携した新たな整備ネットワークの拡大を推し進めていくという。

 現状でのEV販売店舗は、神奈川県内がテックランド横浜本店、テックランド横浜泉店、家電住まいる館YAMADA戸塚店。埼玉県内がテックランド大宮宮前本店、Tecc LIFE SELECT春日部本店の5店舗。取扱店舗は今後

「11店舗」

までの拡大が予定されている。

 13年前に三菱とヤマダデンキが手掛けたEV販売ビジネスは、EVの普及が想定より進まなかったという事情もあって短期での終了を余儀なくされた。しかし現時点でのEV化への加速は社会全体の総意であるようにも思える。

 社会情勢が大きく動いている以上、ビジネス戦略もそれに合わせて変革しなければ時代に乗り遅れる。その上で顧客の信頼に足る高品質なサービス体制を確立するためにはどうすればいいのか。家電量販店と自動車メーカーがともに市場で勝利を得るための新たな戦略という意味では、高く評価できる決断だ。

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