中国165年ぶり「ウラジオストク奪還」で、“鳥取県が発展する”は本当か
中国によるロシア・ウラジオストク港の利用が拡大している。港のあるウラジオストクは中国と北朝鮮との国境近くに位置している。
中国「165年ぶりの奪還」

中国によるロシア・ウラジオストク港の利用が拡大している。港のあるウラジオストクは中国と北朝鮮との国境近くに位置している。
利用拡大のきっかけは、中国税関総署が6月から実施している特例措置で、海に面していない
・黒竜江省
・吉林省
の産品を出荷する際のものだ。中国側の発表によると、工業基地の活性化を目的としており、両省の国内貿易品の通過港として、ウラジオストク港を利用できるとしている。
中露間では、2023年3月の首脳会談で両国間の物流拡大も合意されており、今後はウラジオストク港を通じた中国製品の輸出も増加すると見られている。このウラジオストク港への中国の影響力拡大を、いくつかのメディアは中国による
「165年ぶりの奪還」
とも報じている。
もともとウラジオストクを含む沿海州は、1860年の北京条約で当時の清が帝政ロシアに割譲した土地である。ゆえに、この「奪還」によって、ウラジオストク港が中国の権益下になると見込まれているのである。
大陸で起こるこの動きで、最も期待されているのが
「鳥取県」
の発展だ。
なぜなら、同県が明治以来、大陸との貿易による地域の発展を何度も試みてきたからだ。
鳥取県で、日本海を通じた大陸との経済的な結びつき、すなわち「環日本海経済圏」は明治時代から構想されてきた。海の向こうに大陸があるにも関わらず、鳥取県で対外貿易が栄えなかったのは、良港に恵まれていなかったためだ。
唯一の良港だった境港は水深が浅く、明治時代に浚渫(しゅんせつ、水底の土砂などを掘りあげる工事)が行われるまでは港としての価値が低かった。