内燃機関にこだわる「マツダ」 業績絶好調なワケ

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マツダは2023年5月、2022年度の通期決算を発表し、過去最高の売上高となった。これまでの同社の変遷を通して、その要因を分析する。

2018年から新たなタグライン採用

マツダのウェブサイト(画像:マツダ)
マツダのウェブサイト(画像:マツダ)

 その後、マツダはZoom-Zoomに変わって、2018年から「Be a driver」というタグライン(ブランドが標榜するメッセージを短い言葉で端的に表現したもの)を採用する。ウェブサイトには「それぞれの道を、それぞれの人生を、応援したい。全ての人に、Be a driver.を。」と提示されている。

 このメッセージからは「クルマが好き、運転が好き。その人たちに応えよう」というZoom-Zoomのシンプルなものから、一歩進んだ「志」を感じる。

 6月の株主総会をもって、代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)に毛籠(もろ)勝弘氏が就任した。毛籠氏は同世代のフィールズ氏が手がけたZoom-Zoomの素晴らしさを認めるとともに、「ブランド」が現場と乖離(かいり)する危うさについても、過去のインタビューにおいて言及している。経営陣として、毛籠氏のこの認識は的確なものだといえよう。

 筆者(J.ハイド、マーケティングプランナー)は2022年発売されたCX60に試乗した。確かに後輪駆動と重量配分によるナチュラルな運転感覚には秀でたものがあり、ドライバーが心地よいと感じるインテリアも含め「Be a driver」コンセプトを改めて実感した。

 その一方、ボディサイズの大型化や重量増を硬めのセッティングで押さえ込み、6気筒クリーンディーゼルのパワフルさや軽快感をスポイルしているようにも思われた。

 実購入をイメージした際にはややちぐはぐ感があり、1890mmという全幅の大きさも立体駐車場を保管場所とする都市部のオーナーにとっては悩ましかった。しかしこのサイズは、CX5やCX8のユーザーが次に買う車種により大きな輸入車を選ぶ。という調査から決断されたようだ。

 結果として、新車効果が発揮される2023年秋ごろまでは好調なセールスと思われるが、次第にCX5やCX8とのすみ分けの難しさが出てくるのではないか、と筆者は予想している。

 環境対応に目を転じると、ハイブリッド車は2015年に提携したトヨタからの技術供与を受け続けている。また電気自動車に関してはMX30がデビューしたものの、航続距離の面で国産メーカーのなかで後れをとっているのは否めない。

 先日就任した毛籠新社長からのメッセージは、下記のように結ばれている。

「マツダは、「走る歓び」を進化させ続け、お客さまの「生きる歓び」を通じて社会に貢献してまいります」

 今回発表された過去最高の決算にはこれまでのマツダのブランドマネジメントの成果とともに、直近の課題も散見される。そして、課題が顕在化したそのときこそ「Be a driver」の「志」の真価が問われるのではないだろうか。

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