日本の物流コストに大打撃? パナマ運河「水位低下問題」が全然“対岸の火事”じゃないワケ

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今、パナマ運河の水位低下が問題になっている。この水位低下により、ここ数か月にわたってパナマ運河庁により、喫水制限が設けられてきた。

大量の淡水を必要とするパナマ運河

スエズ運河(画像:OpenStreetMap)
スエズ運河(画像:OpenStreetMap)

 国際物流の生命線である運河は、パナマ運河のほかにスエズ運河がある。

 スエズ運河は、パナマ運河より少し古く1869年に完成した。日本貿易振興機構のデータによると、2021年の通航隻数は約2万隻とのことである。

 パナマ運河とスエズ運河は同じ運河であっても、

・スエズ運河:水平式
・パナマ運河:閘門(こうもん)式

と構造が根本的に異なっている。

 水平式の運河は、文字通り運河と前後の海水面の水位差がほとんどないため、船はそのまま通航するだけでよい。

 一方、閘門(こうもん)式運河は、ロック式運河ともいい、運河と前後の海水面の水位差をクリアすべく、運河の出入り口に水門で水をせき止めた閘室を設けて、水位を調整しながら船を上下移動させる方式である。

 日本では、名古屋市にある中川運河が閘門式運河として有名であり、名古屋港と中川運河の境目にある中川口通船門は現役として活躍している。

 パナマ運河の場合、運河の本体ともいえるガトゥン湖の海抜が26mあり、太平洋・大西洋側いずれも3段階で船を上下移動させている。船1隻がパナマ運河を通過する際に、約2億リットルもの水を必要とする。

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