ネット上の「鉄道記事」に毎回暴言を吐く人たちに欠けたもの それは「歴史とは何か」という目線である
三島駅と沼津駅の例

その新しい「鉄道忌避伝説」の事例が、東海道新幹線の三島駅(静岡県三島市)である。
三島市の西側に隣接する沼津市は、三島市より人口が遥かに多い。最新データを見ても、
・三島市:10万6489人(2023年5月末時点)
・沼津市:18万8646人(同)
と、その差は明らかだ。77%も多い。
さて、さまざまな史料を見ると、東海道新幹線が開通する際、
・軟弱地盤を避けてルートが決定した
・三島駅に信号所が設置された
・信号所を「新幹線駅」とする運動を三島市と沼津市が共同して行った
ことは明らかになっている。ところが、肝心の沼津市ではいまだに
「反対運動のせいで沼津に新幹線駅ができなかった」
という伝説が語られているのだ。
市長すらも「伝説」語る始末

この伝説の真偽、実は当の沼津市で議題となったことがあるのだ。2006(平成18)年2月の話である。
発端は、当時の斎藤衛市長(1996~2008年)が沼津駅の高架化を求める団体の機関紙で、沼津が発展しない理由は、
・キリンビールの進出
・新幹線の誘致
・がんセンターの誘致
に住民が反対したため、といった旨を発言したことによる。当然、市議会で「(そんな理由は)聞いたことがない」と質問された市長だったが
「新幹線駅やキリンビール、あるいはがんセンターなどが沼津市にあればよかった、そういう思いを込めて発言したものであります」
と回答。市当局も反対運動は事実ではないと認めている。それでもなお、同市で反対運動の影響を語る人がいるのも事実である。
このように、関係者がまだ存命していそうな時代の出来事でも伝説が生まれるのだ。それを考えると、あらゆる「住民が反対したから~」を真実と見なしてしまうのは、同意しないが、理解できなくもない。
何らかの事業が行われれば、反対の声が上がるのは世の常である。ただ、それが事業の決定において、関係者へ
・どのような影響を及ぼしたのか
・あるいは全く及ぼさなかったのか
は検討しようがない。つまり、過ぎ去ったことを「真実は〇〇」と断定するのは甚だ困難なのだ。