新幹線に必要なのは最高速度か、それとも加速力か? 「N700S」「E5」を例に考える

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新幹線車両の「最高速度」「加減速性能」は、各事業者の置かれた環境で考え方が異なり、とても興味深い。その一部を紹介する。

高速時の性能を重視した旧国鉄

N700S(画像:JR東海)
N700S(画像:JR東海)

 筆者(小林拓矢、フリーライター)が子どものころ読んだ鉄道の本には、このようなことが書かれていた。

「都市部を走る通勤電車は、ひんぱんに発車と停車を繰り返すため、加減速性能を重視し、特急列車は停車の頻度が少ないため、加減速よりも最高速度で走ることを重視する」

加減速性能の高さで知られているのが、阪神電気鉄道の「ジェットカー」である。阪神電気鉄道の普通列車に使用される車両は、起動加速度を高くし、減速度もトップクラスである。

 阪神電気鉄道は、駅間距離が短く、停車駅も多いため、普通列車は優等列車のダイヤに影響しないような車両であることが必要だった。そのため、特別な車両を導入したのだ。
 阪神電気鉄道ほどではないにせよ、旧国鉄では(有料の)優等列車の車両は高速時の性能を重視し、特別料金不要な都市部の通勤電車では加速と減速をきびきびするようにしていた。

 料金不要の種別上位の列車と各駅停車を混在している私鉄では、双方で車両が使用できるように全車両の性能を統一し、スムーズなダイヤを組めるようにしていた。

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