EVは、どのように使えば排出削減に効果的なのか?

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近年、その市場シェアを広げているEV。そんなEVで温暖化ガスの排出量を効率的に減らすには、どのように使うと効果的かご存じか。

急成長するEV市場

EVのイメージ(画像:写真AC)
EVのイメージ(画像:写真AC)

 最近、電気だけで走る電気自動車(BEV。以下、EV)のニュースがよく報じられている。十数年前に発売されたときはまだ価格も高く、航続距離や充電速度などの性能も限られていた。バッテリーの耐久性が足りない例も見られた。

 しかしその後、性能が上がって値段も下がり、一部の国では純エンジン車やハイブリッド車(HV)より安価に販売される車種も出てきた。2022年に世界で販売される乗用車の1割を超えたところだが、今後10年もしないうちに市場の主流になると見られている。

 電気自動車が売れる際、まず、

「車両が安く買える」

ことが重視される傾向がある。現時点で、各国が価格差を助成で補いながら普及が進められているが、今後、エンジン車よりも安価になっていくと見られている。

・加減速がスムーズ
・エンジン音が無くて静か
・排ガスが出ないので都市部の大気汚染を減らせる

などの利点も購入動機となっている。幹線道路沿いの充電器や集合住宅の充電設備の整備も、各国で進められている。

 もうひとつ重要な背景が、気候変動への対策である。既に世界各地で気象災害が増え、現時点でも日本を含めた世界中で年に何十兆円もの被害を生み、また、何千万人もが気候難民になるなど、人権侵害も引き起こしている。

 取り返しが付かない状況を避けるため、世界の温暖化ガスの排出量を速やかに減らす必要がある。世界の排出量のうち1割強が自動車由来で、これもEVや燃料電池車(FCEV)に切り替えねばならない。

 このような背景のもと、各国とも自国内での関連産業育成を競っている。量や価格はもちろん、製造時の環境負荷の抑制でも競争している。中国製品ですら、低排出な電力を用いた製造を売りにする例が見られる。

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