半導体産業の危機 「台湾有事」がもたらす6000億ドルの被害リスクと、在留邦人の帰国問題

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台湾有事を巡る当事者間たちの緊張の長期化により、台湾社会でも有事を見据えた動きが進んでいる。また、企業の台湾情勢への懸念も広がっている。

台湾有事と邦人保護

台湾の立法院(画像:(C)Google)
台湾の立法院(画像:(C)Google)

 台湾有事の可能性、タイミング、防ぎ方などについては、米軍幹部からも相次いで発言があり、日本国内でも多くの軍事、安全保障専門家たちがそれについての独自の考えを示している。

 しかし、台湾には2万人あまりの日本人が滞在し、仮に有事となれば邦人保護・退避が大きな問題となる。そして、2万人のなかには多くの企業駐在員とその帯同家族がおり、企業にとっても台湾有事は大きな課題となっている。

 では、世論で緊張の高まりが叫ばれるなか、企業は台湾情勢をどのように見つめているのだろうか。

 まず、台湾情勢を巡り、台湾と関係する企業の間で心配の声が広がっていることは、筆者(和田大樹、外交・安全保障研究者)がそういう企業関係者たちと接していて強く肌で感じる。そして、その心配の声は今日大きくふたつに分類できる。

 ひとつは「ヒトの安全」に関することだ。上述のように、台湾には2万人の在留邦人がいるが、台湾に社員(と帯同家族)を駐在させる企業も多い。

 台湾は海に囲まれており、ウクライナのように隣国などに避難することは不可能なばかりか、有事となれば唯一の安全な避難手段である民間航空機はすぐにストップするので、社員が

「籠城の身」

になることを懸念する声が企業から聞かれる。

 そして、ヒトの安全を懸念する企業関係者から多く聞かれる心配の声は、

「何がきっかけ、どのような情勢になれば社員の帰国を決定するか」

だ。

 これは極めて判断が難しい問題だが、そのガイドラインや危機管理マニュアルを作成する、それを真剣に検討する企業がかなり増えている。

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