岸田首相のウクライナ電撃訪問 政府専用機ではなく、なぜ「チャーター機」だったのか?

キーワード :
,
話題を呼んだ、岸田文雄首相のウクライナ電撃訪問。移動の空路で用いたのは政府専用機ではなく、民間のチャーター機だった。

ホテルを抜け出しチャーター機へ

プシェミシル駅の位置(画像:(C)Google)
プシェミシル駅の位置(画像:(C)Google)

 報道によると、インドからウクライナへ向かったのは岸田首相を含め10人程度で、岸田首相らは滞在先のホテルから記者団に気づかれないように抜け出し、手配していた民間チャーター機でインドをたった。

 日本からインドまでの行程では、普段の外遊通り政府専用機を利用しており、ポーランドへは同機で向かうことも可能だった。しかし、政府専用機は本機と予備機の2機で運用しており、極秘ミッションで使うにはあまりに目立つ。万が一、同行記者団の搭乗していない政府専用機がインドの空港を飛びたつところを目撃されれば、電撃訪問は水泡に帰する結果となりかねない。

 そうした理由から空路の手段として選ばれたのが民間チャーター機で、機体はボンバルディアの最新ビジネスジェット「グローバル7500」だった。グローバル7500といえば、2023ワールド・ベースボール・クラシックで大リーグ・エンジェルスの大谷翔平選手が帰国の際に利用したチャーター機でもある。

 電撃訪問の計画を事前に知っていたのは日本政府内でも極めて少数で、情報管理は徹底されていたが、岸田首相がインドからウクライナへ向かうのではないかという臆測は日本をたつ前から流れていた。

 岸田首相らはインドのホテルを抜け出し、グローバル7500で同地を出立するところまではうまくいったが、ポーランドでは一部報道機関の記者らが待ち構えていた。場所はポーランド東部のウクライナ国境付近にあるプシェミシル駅。2月にバイデン大統領がウクライナへ鉄路で向かった際に利用したのと同じ駅だ。

 インドでは、岸田首相の所在をめぐって外務省担当者と同行記者団の間で厳しいやりとりが続いていたが、外務省担当者は「確認中」と言質を与えなかった。しかし、プシェミシル駅で岸田首相が列車に乗り込むところを複数の報道機関が確認し、電撃訪問の事実は政府の正式発表より前に速報された。

全てのコメントを見る