台湾・スターラックス航空、2月売上前年比20倍 大躍進の裏にあった御曹司の“復讐劇”とは

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台湾を拠点とするスターラックス航空の2月の売上高は、前年同期比20倍となる約62億円に到達した。2018年設立の同社、いったいどんな企業なのか。

エバー航空の御曹司による復讐劇

飛行機の操縦室にいる張国イ氏(画像:スターラックス航空)
飛行機の操縦室にいる張国イ氏(画像:スターラックス航空)

 2019年10月25日、スターラックス航空の初めてとなるエアバスA321neo航空機がドイツ・ハンブルクで正式に引き渡され、社長の張国イ氏は自ら操縦して台湾までに飛行。メディアに注目されながら機内から降り立った。

 これにより、スターラックス航空は新たなマイルストーンに到達し、また、エバーグリーン・グループの張氏一族から追放された張国イ氏は再び注目を集めることとなった。

 張国イ氏は1996年にエバー航空に入社し、現場職からキャリアを積んで、最終的には総経理まで上り詰めた。機体の更新やスターアライアンスへの加入などの重要な戦略を実行した。またHello Kittyの塗装された機体を導入して、航空業界に新しさをもたらした。

 優れた管理能力に加えて、パイロット兼整備士の資格を持っており、航空業界の上級管理職のなかでも珍しい存在である。また、航空会社にとって最も重要である航空機の購入から、機体の運航、整備に至るまで、張国イ氏は積極的に関与していた。

 その才能が認められ、2012年に張国イ氏はエバー航空の代表取締役に就任し、2014年にはエバーグリーン・グループの総裁である張栄発氏が後継者に指名された。

 しかし張栄発氏の死後、後継者指名が実現されなかった。2016年、張国イ氏がシンガポールへの飛行任務中、大株主である「正室」によってグループ総裁およびエバー航空の代表取締役が解任され、その後の任務も取り消され、グループ本部も解散された。その後、グループ内の他の企業の取締役や監査役が相次いで解任され、張国イ氏はエバーグリーン・グループから全面的に追放され、失業者となった。

 張国イ氏は諦めることなく、2018年にスターラックス航空を新たに設立した。エバー航空出身者を積極的に採用。スターラックス航空のコアチームを率いていた前副社長や現在の最高経営責任者(CEO)もその例である。「王子の復讐(ふくしゅう)劇だ!」とマスコミなどで騒ぎ立てていた。

 スターラックスの「スター」は、父親である張栄発氏が若い頃、船舶に衛星利用測位システム(GPS)がなかった時代に星空を見上げて方向を判断していたことにちなんでおり、父親に対する敬意や思い出を表現している。

 また、張国イ氏は、父親が昭和時代の日本教育を受けたため、子どもたちに対しては厳しく、褒めることはほとんどなかったと回想している。しかしあるとき、父親が出張する際に搭乗していた飛行機の操縦者が自分だったと聞いた際に、「エクセレント」と漏らしたそうだ。このことは特に印象に残ったと述べている。

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