北海道「タマネギ列車」が維持困難路線で今なお存続しているワケ トラック並走なのになぜ?
「タマネギ列車」の愛称を持つ貨物列車が、北海道の石北本線を走っている。その存在は、路線の維持にも関わっている。
「廃止」案に対し地元が支援

現在、「タマネギ列車」は1日に1往復が運行されているが、2009(平成21)年度までは3往復あった。運行するJR貨物にとって、「タマネギ列車」は必ずしも効率的でなかった。採算性の低さと車両の老朽化というふたつの「重荷」があったのだ。
2013年度まで「タマネギ列車」をけん引していたのは、1970年代に製造された国鉄時代のディーゼル機関車。当時既に製造から40年が経過し、引退が迫っていた。
採算性の面では、石北本線に急勾配やスイッチバック(進行方向の逆転)があることから、けん引する機関車を2台にし、かつ、貨車の両数を11両(5t積みコンテナ55個分)に制限せざるを得ない状況がある。
北海道の他の路線と比べると、1本の列車が運べる貨物の量は4割以上少ないにもかかわらず、動力源と人件費は2倍必要となるわけである(この状況は現在も変わっていない)。
さらに「片荷輸送」の問題もあった。北見発の列車はタマネギを満載する一方で、北見行きの列車には荷がほとんどなく、空のコンテナを延々運ぶ非効率なものだった。
こうした悪条件からJR貨物は、2012年度限りで「タマネギ列車」を廃止し、トラック便に置き換えると表明した。
これに対し、地元は「時代の流れ」と諦めることはなかった。オホーツク管内の15市町村で構成される「オホーツク圏活性化期成会」は、運行継続のためにJR貨物が必要とした7億3000万円のうち6割ほどを、コンテナ購入などの形で負担することに決めたのだ。JR貨物も、新しい機関車を導入することで、存続の危機を切り抜けた。