北海道「タマネギ列車」が維持困難路線で今なお存続しているワケ トラック並走なのになぜ?
「タマネギ列車」の愛称を持つ貨物列車が、北海道の石北本線を走っている。その存在は、路線の維持にも関わっている。
トラックが貨物列車と並走

「タマネギ列車」の愛称を持つ貨物列車が、北海道の石北本線を走っている。名前の通り、北見周辺で収穫されたタマネギを札幌や本州方面へと運ぶのが使命で、厳寒期にも吹雪を突いて毎日、北見駅と北旭川駅の間を結んでいる。
一方、その石北本線はJR北海道が「単独では維持することが困難な線区」に挙げた路線で、存続が危ぶまれている。同線に沿って国道や高規格道路が整備された現在もなお、貨物列車の需要がなくならない背景には、「ベストミックス」ともいえる多様な輸送モードの確保という荷主側の工夫があった。
石北本線は、新旭川と網走の234kmを結ぶJR北海道の路線である。「タマネギ列車」はこのうち、オホーツク海側の北見駅と、新旭川の近くにある北旭川駅(貨物駅)の間を、初秋から翌年春にかけて毎日1往復している。タマネギを積んだ貨車は北旭川からさらに札幌、本州方面の消費地へと継走される。
北見市とその周辺は、全国一のタマネギ産地として知られる。2021年の収穫量は全国で109万6000t、そのうち北海道が66万5000tで6割を占める。中でも北見一帯は毎年約40万tとダントツだ。
ただ北海道北部の内陸に位置するため、大消費地である札幌や首都圏へのアクセスは良くない。それを支えているのが「タマネギ列車」というわけだ。
しかし現地に行ってみると、不思議な光景に出くわす。石北本線に並行する国道や高規格道路(旭川・紋別自動車道)に、JRコンテナを積んだトラックが走行しているのである。これらは北旭川駅から札幌方面の貨物列車に載せられる。「タマネギ列車」のルートに並行して、道路上にも「JRコンテナ」が走っていることになる。
一見すると競合するようだが、ここに「タマネギ列車」存続の妙がある。