下請けイジメ横行の運送業界 価格交渉すれば「代わりはいくらでもいる」と嘲笑、経産省「価格転嫁調査」でわかった“美しい国”ニッポンの現実
下請けの中小企業が発注元の大手企業から価格転嫁されていないか、価格交渉に応じてもらえているかの調査結果が経済産業省の中小企業庁から公表された。
末端の現実を見よ

こうした燃料高騰の上昇分などを含めた「価格転嫁拒否」はこれまでも問題視され続けた。
公正取引委員会の2022年5月の調査発表によれば、荷主の行為として
・代金の不当な変更:351件
・代金の支払い遅延:161件
・代金の減額:92件
・不当な利益の提供要請:44件
・割引の困難な手形交付:38件
・買いたたき:26件
・下請けに対する報復:21件
が実数をもって明るみとなっている。
もちろん、これらと先のフォローアップ調査対象企業とは必ずしもイコールとはならないが、こうした行為によって多くの下請けが追い詰められていることは事実だろう。
またその下請けがその下請け(孫請け)に、そのまた下、下、下と押しつけて、最終的に零細企業や個人事業主のドライバーに転嫁され、利益のある無しどころか
「赤字の仕事」
を強いられている実態がある。
埼玉県で軽貨物のオーナードライバーをしている60代男性は「公表はいいこと」としながらも、
「末端は価格交渉の余地すらありません。そんなことをしたら「代わりはいくらでもいる」となります」
これは現場の個人ドライバーに多い意見である。甲信地方でゆうパックなど配達する高齢ドライバーは「単価はずっといっしょ」とのことで、
「田舎だから仕方がないのかもしれないが、光熱費やガソリン代の高騰もあって仕事を変えようと考えている」
と訴える。
コストの上昇を発注側が面倒をみてくれないということは自分で被るしかない。それも限界、ということだ。人それぞれ、発注側や元請けにもよるので一概には言えないかもしれないが、ここまで書いてきたように価格交渉は渋く、価格転嫁もままならない。これが末端の現実である。