不透明な北陸新幹線の延伸問題 環境影響評価の遅れは「工事強行のアリバイ作り」ではないのか

キーワード :
, ,
北陸新幹線大阪延伸工事の2023年度当初の着手が断念された。京都府内で環境アセスメントが遅れているためだ。新幹線工事の壁になっているのはどんな地域なのだろうか。

住民の質問には事実上のゼロ回答

京都府南丹市美山町の風景(画像:写真AC)
京都府南丹市美山町の風景(画像:写真AC)

 この問題はSDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれる時代が来ても、大型公共事業の推進を第一に考え、住民の声に耳を傾けようとしない国や地方自治体の姿勢に大きな変化がないことを浮き彫りにした。

 環境アセスメントは評価項目の絞り込みや評価方法を定める環境影響評価方法書を作成し、実際に評価したうえで環境影響評価準備書を作る。評価結果について都道府県知事の意見を聞き、環境影響評価書を作成、環境大臣の意見も踏まえてアセスメント結果が確定する。

 新幹線工事は必ず環境アセスメントを実施しなければならない事業と規定されているが、詳細なルートが住民に示されるのは準備書ができ上がった段階になる。反対する住民に十分な情報を与えず、環境アセスメントを進めることが可能なわけだ。

 このため、美山町の住民は与党PTや京都府などにルート選定の経緯や適切な残土処理などについて質問したが、

「総合的に勘案して当該ルートが適切と判断した」
「(国や機構に)適切な対応を求める」

など、実質的にゼロ回答と受け止められる答えしか返っていない。

 美山町内の住民で組織する知井の新幹線問題を考える有志の会の長野宇規代表(52歳)=大学教員、元田歌区長=は

「住民に寄り添って環境アセスメントを進める姿勢を感じられない。このままでは環境アセスメントが工事強行のアリバイ作りにされかねない」

と不安を募らせている。

 これまで大型公共工事による環境破壊に対する住民の不安が高まっても、その声はしばしば押し殺されてきた。長野さんら住民の声は届くのだろうか。

全てのコメントを見る