広島県の豪雪地帯になぜかポツンと「自転車の町」があるワケ
通勤・通学に自転車のみを利用する人の増加率で全国一の自治体が、広島県の山間部にある。豪雪地帯なのに自転車利用が増えているのはなぜなのか。
全国一の増加率
コロナ禍で「密」を避ける手段として、自転車の利用者が増えている。通勤・通学手段として自転車を活用する動きは大都市だけでなく、地方でも広がっている。とりわけ、風光明媚(めいび)な地域では、自転車の利用者増は新たな観光客を呼び込むためのきっかけにもなっているようだ。
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では、いま全国で自転車の利用者はどの程度の割合で増えているのか。『日本経済新聞』電子版2022年11月25日付に掲載された記事では、国勢調査をもとに全国1741市区町村の動向を分析している。
この分析では通勤・通学に自転車のみを利用する人を「自転車分担率」として2010年と2020年で比較しているのだが、これによれば増加率最大の広島県北広島町は10年間の増加幅が3.6ポイント。割合にして9.2%となっている。通勤・通学をする人のうち1割弱が自転車利用者というわけだ。多くの地方では、車は一家に一台ではなく、一人一台が当たり前であり、ちょっと出かけるだけでもすぐに車を利用しているイメージである。
北広島町は広島市の北、中国山地の山々が連なる地域にある自治体だ。2005年に平成の大合併で山県郡の4つの町が合併してできたこの町は、島根県と接しており、瀬戸内海に面した広島県でありながら、日本海側気候である。とりわけ北西部は、広島県はもとより中国地方でも有数の豪雪地帯とされる地域だ。そんな山間部で自転車が普及しているというのは、どういうことなのか。