広島県の豪雪地帯になぜかポツンと「自転車の町」があるワケ

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通勤・通学に自転車のみを利用する人の増加率で全国一の自治体が、広島県の山間部にある。豪雪地帯なのに自転車利用が増えているのはなぜなのか。

観光振興や教育に活用

サイクリングのイメージ(画像:写真AC)
サイクリングのイメージ(画像:写真AC)

 ただ、北広島町の優れているところは、自転車利用者の増加が全国トップとなったことを活用した町づくりを進めているところだ。2022年3月には「北広島町自転車活用推進計画」もまとめた。

「当町では2022年8月、北広島町ゼロカーボンタウン宣言を行いました。温暖化が進む中、2050年までに温室効果ガス排出量と吸収量がつり合う状態を目指すもので、通勤・通学などに自転車を活用することで脱炭素社会を形成するため、自転車活用推進計画を作成しました。計画には、町民の健康増進、観光振興、安全な自転車空間の整備などを盛り込んでいます」(北広島町担当者)

 地域が注目する工場はゼロカーボンに向けた需要の変化に対応する製造を始めている。町はその波及効果によって生じた自転車利用を全方向に活用しようとしている。なんとも、偶然がうまく重なり合い「自転車の町」を生み出しているというわけか。

 そうした中で、特に自転車を用いた観光施策では、近隣市町村と連携した施策を打ち出している。

「本町には四季を通じて多様なアクティビティーを楽しむことができる自然環境が整っており、スポーツと魅力ある地域資源を有効活用して、健康、経済の活性化を目的とした『やまがたサイクリングロード』の整備に取り組んでいます」(同)

 このサイクリングロードは、山県郡内の観光地5コースをスタート・ゴールするもの。それぞれのコースには路面表示が整備され、「やまがたサイクリングマップ」も作成し、配布している。また、サイクリングロードを用いたイベントである「FunRideひろしまinやまがたサイクルランド」はコロナ禍で中止が続いて来たが、2022年は3年ぶりに開催、県内外から91人のサイクリストが参加している。

 さらに役場の担当者は、こんなことも教えてくれた。「町内の芸北小学校が2010年度から取り組んできた交通安全子供自転車大会に出場し、2017年8月に東京で開催された第53回交通安全子供自転車全国大会で団体優勝を飾っています。ほかの小学校においても普及できればと思っております」

 自転車で地域振興というと、どれかひとつのジャンルに偏ってしまいがちだが、北広島町の施策は実に多彩だ。ただ、まだ観光客向けのレンタサイクルは検討中、かつ、さらなる自転車の普及を進めるための購入補助は実施されていない段階だ。とりわけ電動アシスト自転車の購入補助があれば、地域での自転車利用者はぐっと増えるはず。ここまでさまざまな施策を実施しているのだから、ぜひとも検討してもらいたいところだ。

 北広島町というところは広島人に聞くと、「冬にスキーに出かけるところ」という声が多いが、季節に変わりなく楽しめるところの様子。サイクリングがてら、自転車の普及が進む町の姿を訪ねてみるのもよいかも。

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