いくつ知っている? 首都圏から消えた「モノレール」と知られざるその裏事情とは
運行休止中の日本最初の常設モノレール

●上野懸垂線(東京都交通局)
上野動物園モノレールとも呼ばれる上野懸垂線は、恩賜上野動物園にジャイアントパンダがやってくるずっと以前、1957(昭和32)年12月に開業した常設としては日本初のモノレールである(事業種別は鉄道)。園内の東園駅と西園駅との間(300m)を1分30秒で往復するもので、歴史上、日本最短のモノレールでもある(2023年1月現在)
その名の通り、このモノレールは懸垂式であり、「上野式」と呼ばれる独自の方式による。上野式はもともと、東京都交通局が交通渋滞の緩和策として、日本車輌と共同で開発したもの。
その呼称は、第1歩としてトライアル的に上野動物園内に設置されたことに起因する。なお、ご承知のように、モノレールを都内に各地に走る都市計画が具体化されることはなく、「上野式」のモノレールは上野にしか存在しない。
上野懸垂線は園内の名物のひとつとして長い間、親しまれることになる。1967年に2代目、1985年に3代目、そして2001年5月には4代目となる車両が登場し、快適性と安全性がキープされていた。
ところが、もっとも新しい4代目はデビューから約18年後の2019年1月に車両故障を起こし運行が休止に。同年3月に再開されるが、11月には老朽化を理由に再び休止が発表される。以降、上野懸垂線は2023年1月に至るまで眠ったままの状態が続いている。
ただし、これは廃止を前提としてものではなく、今後、
・施設の大規模なリニューアル
・ルートの変更
・民間との共同運営
などを視野に入れた前向きな措置のようだ。上野懸垂線が休止期間に入ったあと、東園の正面玄関の目の前にあったジャイアントパンダ舎が「パンダのもり」の名称で西園に移設された。いつか、真新しいモノレールが動き出した場合は、再び動物園の人気コンテンツとなりそうだ。