大みそかの「終夜運行」 実は、コロナ前からやめる路線が増えていた!

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大みそかの深夜に寺社へ赴き、日付が変わって元日を迎えたと同時に「初詣」を行う――。そんな正月の風物詩が、少しずつ変わり始めている。

終夜運転 やめる路線、続ける路線

2022年の終夜運転を決定している御岳山ケーブルカー(画像:写真AC)
2022年の終夜運転を決定している御岳山ケーブルカー(画像:写真AC)

 これまでも、JR横浜線は1996(平成8)年から行っていた上下線とも約1時間に1本の臨時列車を2006(平成18)年以降は中止している。西武鉄道も、2009年以降経費削減を理由に、終夜運転を行っていない。

 理由は、どちらも終夜運転を実施しても乗客がほとんどいなかったためだ。例えば横浜線の場合、2005年の段階で、中央線や武蔵野線、青梅線が乗車率40~60%なのに対して11~12%程度しかなかった。

 どちらの事例も、初詣で混雑するような寺社や、カウントダウンが開催されるスポットなどが沿線になかったため、乗客が伸びなかったのだ。

 振り返れば1990年代から2000年代前半にかけては、鉄道各社とも大みそかの終夜運転は当たり前のような雰囲気があったが、実際のところ低迷している路線も多かった。

 筆者は2000年代前半、まだ急行が走っていなかった東急大井町線が終夜運転していたのを覚えているが、深夜3時頃に乗った列車には片手で数えるほどしか乗客がいなかったと記憶している。

 ともあれ、終夜運転は初詣客が利用することが前提である。成田山新勝寺のある京成電鉄や、高尾山のある京王電鉄が実施するのは、乗客が見込めるのだから当然といえる。

 変わったところでは、東京都青梅市の御岳山ケーブルカーも2022年は終夜運転を決定している。こちらも参拝客が見込めると踏んでいるからだろう(最寄りの鉄道駅である青梅線・中央線も実施)。

 ただ、今回は終夜運転を実施した路線であっても、翌年以降も実施するとは限らない。初詣の分散化が著しく進んでいるからだ。

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