日本人は理解できない? イタリアの鉄道会社が「スペイン市場」へ参入したワケ

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2022年11月、スペインに新たな高速列車が走り始めた。イタリアの鉄道会社がスペイン市場に参入した背景を解説する。

オープンアクセス法が契機

ヴァレンシアに停車するiryo(画像:橋爪智之)
ヴァレンシアに停車するiryo(画像:橋爪智之)

 2022年11月25日、スペインに新たな高速列車が走り始めた。「iryo(イリョ)」と呼ばれる新しい高速列車は、スペインの既存の高速列車AVEを運行するスペイン鉄道「RENFE」の新たなブランドではなく、イタリア鉄道の旅客運行会社トレニタリアと、航空会社エアノストラム、インフラ企業グローバルヴィアの3社が共同出資で立ち上げた民間企業による、まったく新しい高速列車だ。

 スペイン市場には、前述したAVEのほか、フランス国鉄SNCFのブランドOuigoがすでに参入しており、今回のiryoの参入によって3社が競合する「高速列車激戦区」となった。もちろん、3つの異なる会社による高速列車が同一線区に運行されるのは、ヨーロッパでも初めてのことである。

 しかし、なぜイタリアの鉄道会社がスペインで高速列車を運行するのか。

 21世紀に入り、ヨーロッパでオープンアクセス(列車の運行とインフラを分け、インフラ部分を別会社が持つことで、誰でも自由に鉄道市場へ参入できる制度)法が施行されて以降、民間企業や他国のオペレーターによる列車運行が次第に拡大している。最初に世間へ広く認知されたのは、イタリアntv社による初の民間高速列車italo(イタロ)で、2012年に既存のイタリア鉄道とは一切の関係を持たない民間企業が、突然イタリアの高速列車市場へ参入し、2つの高速列車が運行されることになったため、大きな話題となった。

 ntv社の代表に元フェラーリ会長のルカ・モンテゼモロ氏が含まれていただけで、話題性を求めたマスコミに「フェラーリ特急」などというとんちんかんなタイトルで記事にされたが、幸か不幸かその話が独り歩きして、結果として大きな話題を呼んで認知度を高める要因となった。(注:代表にモンテゼモロ氏が就任したというだけで、ntv社はフェラーリとの間に資本関係や協力関係はなかった)

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