日本人は理解できない? イタリアの鉄道会社が「スペイン市場」へ参入したワケ

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2022年11月、スペインに新たな高速列車が走り始めた。イタリアの鉄道会社がスペイン市場に参入した背景を解説する。

10年越しの計画実現

パリのリヨン駅に並んだフレッチャロッサ(手前)とTGV(奥)(画像:橋爪智之)
パリのリヨン駅に並んだフレッチャロッサ(手前)とTGV(奥)(画像:橋爪智之)

 そして2021年12月、イタリアはついにフランス市場への参入を果たすことになる。イタリア国内ではフレッチャロッサ・ミッレの愛称で有名な、日立製の高速列車ETR400型を使用し、ルートはTGVと完全に競合するミラノ~パリ間だ。加えて、フランス国内で完結するパリ~リヨン間にも列車の運行を開始、いずれはフランス国内各都市へ運行する計画もある。フランスでの運行は順調で、その流れで翌2022年にスペイン市場への参入も果たした。スペイン市場も2010年ごろより計画があり、まさに10年越しの計画実現となった。

 このような経緯があって誕生したiryo。11月21日に報道陣へお披露目され、マドリード~ヴァレンシア間で試乗列車が運行された。曇天でところどころ霧が発生するあいにくの天気だったものの、列車は定時でヴァレンシアまで走り切って、到着したヴァレンシアでは運行開始記念式典を開催、関係者によるスピーチが行われた。トレニタリアCEOのルイジ・コッラーディ氏は、サステナビリティと環境問題への取り組みには鉄道が最適であると訴え、今後もマイカー利用者の鉄道利用を促し、ヨーロッパ鉄道網の拡大に寄与していく、と抱負を述べた。

 式典の後のパーティーで、そのコッラーディCEOを直撃してみた。同氏は筆者(橋爪智之、欧州鉄道フォトライター)の問いかけに気さくに応じてくれ、トレニタリアは今もいくつかのプランを推し進めており、その一つとして次なるターゲットにドイツおよびオーストリア市場への進出を計画していると語った。

 オープンアクセス法施行後、真っ先に「他国からの侵略」を許してしまったイタリアだったが、今やヨーロッパで最も意欲的に、他国への進出を進めるまでになった。この先10年、ヨーロッパの高速列車事情は大きく変化していくことになるかもしれない。

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