日本人は理解できない? イタリアの鉄道会社が「スペイン市場」へ参入したワケ

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2022年11月、スペインに新たな高速列車が走り始めた。イタリアの鉄道会社がスペイン市場に参入した背景を解説する。

他国に参入されたイタリア

2012年にイタリア市場へ参入したイタロ(画像:橋爪智之)
2012年にイタリア市場へ参入したイタロ(画像:橋爪智之)

 しかし話題性といううわべの話は大きな問題ではなく、イタリア鉄道にとってどうしても許し難い問題があった。ntv社の株主の中に、フランス国鉄SNCFの名前があったのだ。しかも使用される車両はフランスの大手鉄道メーカー、アルストムが製造するAGV。「次世代型TGV」とも言われていた車両だ。欧州連合(EU)の指令によるオープンアクセス法で、市場を開放しなければならない状況にあったとはいえ、いきなり他国の鉄道が参入してくれば面白いはずがない。

 加えて、長年にわたってフランスへの相互乗り入れを目指して、既存の高速列車ETR500型を用いて走行テストが続けられてきたが、フランス側からの許可が下りず、結局断念したという経緯があった。イタリア鉄道は、それまで長年にわたって共同運行してきたイタリア~フランス間の列車について袂(たもと)を分かち、ミラノ~パリ間のTGVはフランスが、それ以外の夜行列車などはイタリア鉄道が引き継いで運行することになったが、後にTGV以外はすべて撤退することになった。

 以後、イタリア国内で両社はしのぎを削り、その相乗効果で過去10年の間に鉄道利用者が120%以上も増える結果となった。だがイタリアは、最初に狙い撃ちされたかのごとく、テリトリーへ侵入されたことをずっと快く思っていなかったのだろう。この10年以上、他国への進出の機会をずっとうかがい、準備を進めてきた。

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