赤字ローカル線「存続か否か」の二元論ばかりで見えぬ未来 国・自治体に依存しない新たな存続策が必要だ
収支公表を受けた各自治体の反応

赤字ローカル線が走る地域では、収支公表を受けてどのような対応を始めているのか。公表は全国的に報道されるものの、各地域での取り組みはあまり広く知られていない。
2022年、2度にわたり収支を公表したJR東日本。その管内の自治体では対策が始まっている。秋田県は11月25日、利用促進を目指す初の連絡調整会議を開催し、活性化に向けてJRや沿線自治体と連携していくことを確認している。
2度目の収支公表に先立つ11月9日、岩手県は新たに「JRローカル線維持確保連絡会議」を立ち上げて、路線維持と利用促進に向けての会合を行っている。この席では、同県の八重樫幸治副知事が
「収支のみで路線の価値を判断するのではなく、地域が望む形で維持が図られるべきだ」
と発言し、赤字ばかりが注目されている現状にくぎを刺している。
このように赤字路線を抱える自治体では、市町村レベルだけでなく全県的な問題意識として、JRや国との協議を調え始めている。具体的な議論はこれからだが、ようやく話し合うための“下地”ができたのだ。
鉄路再編のアイデアが飛び出した長井市

既に、具体的な取り組みを始めた地域もある。例えば、岩手県盛岡市はJR山田線の存続に向け、観光需要掘り起こしに予算を投じることを検討している。2023年1月から宮古市で開催されるイベント用列車で、地場産品の贈呈などを行うとともに、アンケート調査を実施し、需要の掘り起こしを図る。
また、山形県長井市では新たな鉄路再編のアイデアも飛び出している。これは、11月に無投票5選を果たした同市の内谷重治市長が提案しているものだ。その中身は、乗客減に悩むJR米坂線と、第三セクターの山形鉄道フラワー長井線(以下、長井線)についてで
「米坂線の一部運営に関し山形鉄道が委託を受けられれば、双方にメリットが生まれる」
というものだ。
JR米坂線は利用者減に加えて、2022年8月の豪雨で橋が崩れ、代行バス輸送が「当面の間」として実施されている。長井線は利用者の減少が続いており、存続を危ぶむ声が根強い。この問題を解決すべく、JRが使用しなくなった車両を長井線で活用している。
また、山形鉄道の職員が米坂線を運行する、というのが内谷市長の提案だ。『河北新報』11月15日付朝刊によれば「まだ提案書を作成中の段階」としているが、単に国や自治体に支援を求めるだけではない新しいタイプの存続策だけに、今後の動向が気になるところだ。